昆虫写真家 海野和男氏が語るTough(TG)シリーズの進化と魅力

世界中で精力的に撮影を行っている昆虫写真家・海野和男氏に、最新モデルTG-6の進化点を含めて、オリンパスのタフカメラTough(TG)シリーズの魅力をレビューしていただきました。

掲載日:2019年6月13日

海野和男

1947年東京生まれ。昆虫と自然を撮り続けて50年。1999年からWEB上で、「小諸日記」を20年間毎日更新し続けている。「ワイルドライフ」「ダーウィンが来た!」などテレビの自然番組にも出演。著書は200冊近くになる。この2年間の著作は「アゲハチョウの世界」(平凡社)、「海野和男の蝶撮影テクニック」(草思社)、「増補改訂新版 身近な昆虫識別図鑑」(誠文堂新光社)などがある。日本自然科学写真協会会長。生きもの写真リトルリーグ実行委員長。

デジタルカメラ

Tough TG-6

TGシリーズ用アクセサリー

フィッシュアイコンバーター FCON-T02

常にポケットに入れて持ち歩く“手放せないカメラ”

僕にとってTGシリーズは「絶対に手放せないカメラ」だ。いつもポケットに入れて持ち歩いていて、近くの被写体を撮るときにサッと取り出してシャッターを切っている。特に、最短1cmの距離まで近づいてズーム撮影が可能な顕微鏡モードを搭載した3世代目のTG-3以降は、昆虫撮影に欠かせない存在になった。

防水・防塵仕様に加えて、耐衝撃・耐低温性能も備わっており、少々ラフな使い方をしても壊れることはない。撮影した位置情報(緯度・経度)や温度、標高などの情報の記録も可能だ。マクロ撮影に強いというだけでなく、フィールドで必要とされるベーシックな部分がよくできているのもTGシリーズのいいところだ。

今回、タイ、オーストラリア、ソロモン諸島で、最新モデルTG-6を使って撮影を行った。最新モデルの進化を感じつつ、あらためて、TGシリーズは完成度の高いカメラだと実感した。

深度合成やマクロ撮影、動画撮影などが着実に進化

TGシリーズは素晴らしい進化を遂げてきたカメラだ。振り返ってみると、TG-3でカメラ内での深度合成が可能になり、昆虫撮影にとても使いやすいカメラになった。TG-4では顕微鏡モードの撮影範囲が1cm~30cmに広がり、マクロ撮影の使い勝手が向上。TG-5では、レリーズを切る前にさかのぼって記録するプロキャプチャーモードを搭載したのが大きな進化だった。TG-5とTG-6のプロキャプチャーモードは、シャッターボタン半押しでプリキャプチャーがスタートし、全押しした0.5秒前から約5コマを記録する仕様。蝶が羽ばたくところなど昆虫の一瞬の動きは、いくら見た瞬間にシャッターを押したとしても、通常の連写ではタイムラグによって撮り逃してしまう。だが、プロキャプチャーモードを使えば、レリーズを切る前の動きをより確実に記録することができる。昆虫撮影には必須の機能と言っていいだろう。

さらにTG-5は、4K動画の撮影に対応するようになったうえ、フルハイビジョン解像度でフレームレート120fpsのハイスピードムービーが撮れるようになったのも大きい。最近は自然撮影を含めてさまざまな分野で動画のニーズが高まっているが、求められる機能をしっかりと搭載することで、正常に進化している印象だ。

TG-6のプロキャプチャーモードで撮影した、アオスソビキアゲハのおしっこの様子。プロキャプチャーモードがあって初めて撮影可能な被写体だ。

TG-5で撮影したカブキカマキリの威嚇のポーズ

TG-5で撮影した120fpsハイスピードムービー(アフリカクロアナバチの穴掘り)

そして最新モデルのTG-6が登場したわけだが、このカメラは、顕微鏡モードでの4K動画撮影に対応するなどの機能強化が図られている。TGシリーズならではの超マクロで4K動画が撮れるのは他にはない特長で、従来以上に幅広い撮影に活用できるカメラになった。

TG-6を使った限りでは、モニターの解像度が約104万ドットに向上したことが大きいのか、視認性がよく、屋外の明るいところでも撮影した写真が見やすいように感じた。また、従来よりもプログラムラインが高速寄りになったので、より速いシャッタースピードでシャッターが切れる[※]。蝶の飛翔など動く被写体を撮る場合でも、被写体ぶれを抑えて撮りやすくなっているようだ。細かいところを含めて従来よりも使いやすくなっている。

※ ISO AUTO使用時のシャッター低速限界を設定できるようになりました。

TG-6では深度合成の枚数選択が可能になった

TG-6の機能強化で押さえておきたいのは、深度合成の撮影枚数を設定できるようになったこと。従来は8枚で固定だったが、TG-6では3~10枚から選ぶことが可能になった。

手前から奥まで深いピントが得られる深度合成は昆虫撮影で絶大な効果を生む機能で、僕はTG-2の頃からフォーカス位置を変えて撮影したものをPCで合成するという形でトライしていた。そのフィードバックからTG-3に深度合成が搭載されたという経緯もあって、とても思い入れのある機能である。今回枚数を選択できるようになったのはとてもうれしい。

深度合成(TG-6)

通常撮影(TG-6)

10枚まで設定できるとなると「より多くの枚数で撮影したほうがよい」と思うかもしれないが、撮影の状況や被写体に合わせて最適な枚数を選ぶのが使いこなしのコツ。そもそも一眼カメラに比べて被写界深度の深いTGシリーズではそれほど枚数が多くなくてよく、大きめの昆虫や花などの大きさの被写体であれば3~4枚程度で十分。枚数が多いとそれだけ撮影時間が長くなり、昆虫であれば触角や体が動いてしまって被写体ブレで失敗する可能性が高くなる。コマ速が速いOM-D E-M1XやE-M1 Mark IIだと枚数が多くてもいいのだが、TG-6の場合は、できる限り枚数を減らすのが成功率を上げるポイントとなる。昆虫や花を撮る場合は、まずは3~4枚程度で試してみてほしい。

いっぽう、屋内での静物撮影など、動かない小さな被写体を接写で大きく撮りたい場合については、枚数が少ないと被写体の隅々までピントが合わないことがある。この場合は7~8枚くらいの枚数を選択したほうがいいだろう。

フィッシュアイコンバーター FCON-T02など豊富なアクセサリーを利用できる

TGシリーズは撮影アクセサリーが豊富に用意されているのも魅力だ。

TG-6の発売とあわせて追加されたアクセサリーの中では、防水仕様のフィッシュアイコンバーター FCON-T02が面白い。ズーム位置を変更することで全周魚眼と対角魚眼を使い分けられるのが特長だが、対角魚眼からさらに望遠側にズームすると一般的な広角レンズの画角でも撮れる。広角にしてもそれほど歪みが目立たないし、画質もけっして悪くない。コンバーターを取り外さなくても全周魚眼、対角魚眼、広角を使い分けられるのがとても便利だ。

フィッシュアイコンバーター FCON-T02

全周魚眼(TG-6、FCON-T02使用)
焦点距離(35mm判換算):8.0mm相当

対角魚眼(TG-6、FCON-T02使用)
焦点距離(35mm判換算):17.0mm相当

全周魚眼(TG-6、FCON-T02使用)
焦点距離(35mm判換算):8.0mm相当

広角(TG-6、FCON-T02使用)
焦点距離(35mm判換算):19.0mm相当

カメラ内蔵のフラッシュを利用して光を回すことで、マクロ撮影時に明るくライティングできるフラッシュディフューザー FD-1は、TG-4以降のTGシリーズでは欠かせない存在だ。深度合成時にも活用することが可能で、僕はこのアクセサリーをほぼつけっぱなしで使っているほど愛用している。FD-1を使っての深度合成は、カメラ側のフラッシュの発光量を落とすのがポイント。TG-6やTG-5であればマニュアル発光量を1/16にくらいに設定して、FD-1側の光量の切り替えレバーを開いた状態(通常の状態)にするのがいい。こうすれば内蔵フラッシュのチャージが早くなり、高画質かつレスポンスよく撮影を続けられる。

フラッシュディフューザー FD-1

FD-1を使用(TG-6)

フラッシュ非発光(TG-6)

TGシリーズのアクセサリーは防水仕様のものが多く、フィッシュアイコンバーター FCON-T02を含めてコンバーターレンズはすべて、カメラに装着したまま水の中に入れて使用できる。フラッシュディフューザー FD-1も水中撮影対応の防水仕様なので、悪天候でも故障を恐れることなく安心して使える。

身近なものを超マクロで撮るのが楽しい顕微鏡モード

最後に、TG-3以降のTGシリーズに搭載されている顕微鏡モードを使う楽しさを紹介したい。このモードは、最短1cmの距離のままズームできるので、まるで顕微鏡で観察しているかのような、超マクロの世界を手軽に楽しめるのが特長だ。

顕微鏡モードは、昆虫や花など自然の被写体だけでなく、コインやアクセサリーなど身近のものを撮ってみるのも面白い。肉眼では見えない超マクロの世界を写せるので新鮮な発見がある。子どもと一緒に使ってみても楽しんでもらえる機能なので、ぜひいろいろと撮ってみてほしい。

顕微鏡モードでの超マクロ撮影と組み合わせたいのが、LEDライトガイド LG-1。このアクセサリーを装着すれば、カメラのLEDライト光を均一に照射してくれるようになる。最短1cmの距離でも陰を消して明るく撮ることができるし、平らな被写体であればカメラを被せるようにして撮ることも可能だ。

LEDライトガイド LG-1

液晶モニターを顕微鏡モードで撮影(TG-6)

カラー印刷物を顕微鏡モードで撮影(TG-6)

自然観察・撮影用として最高のカメラ

TG-3以降のTGシリーズは、自然を観察したり、撮影するのにおいて最高のカメラのひとつだ。最近は、フラッシュディフューザー FD-1を装着したTG-6と、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO を装着したOM-D E-M1XもしくはE-M1 Mark IIという組み合わせで撮影に出かけることがほとんど。近くの被写体はTG-6で、少し離れたところにいる被写体はE-M1X/E-M1 Mark IIで、というスタイルで撮っている。

TGシリーズは、特に、一眼カメラとマクロレンズを組み合わせて、虫や花など自然の被写体を撮っていて「手ぶれしてしまう」「ピントが合わない」と悩んでいる方に使っていただきたい。一眼カメラに比べれば簡単に超マクロ撮影ができるので、失敗が減り、より楽しく撮影ができるようになるはずだ。最新モデルのTG-6は顕微鏡モードで4K動画が撮れるなど、プロ用としても使える動画撮影機能を搭載している。TG-6で、静止画だけでなく、動画での作品作りにもチャレンジしてもらいたい。

Gallery

Products

Tough TG-6

どんな過酷な状況でも高画質な撮影を実現する、オリンパスのタフシリーズ。その最新モデルTG-6は、定評のあるマクロ撮影機能や水中撮影モードが強化されたほか、顕微鏡モードでの4K動画撮影にも対応。従来以上に幅広い表現力を発揮するカメラに進化しました。

フィッシュアイコンバーター FCON-T02

ズーム位置を変更することで全周⿂眼と対⾓⿂眼の両⽅を撮影できる、防水仕様のフィッシュアイコンバーター。水中撮影でも魚眼特有の歪みを活かしたユニークな表現が楽しめます。レンズ内部には窒素ガスを充填することで、温度差による内部の曇りを防止する工夫も施されています。

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