

平成22年9月に改定された電子納品要領。具体的に受注者にとって何が変わるのか? いざ、現場で写真撮影に入る前に、これだけは最低限押さえておきたいポイントを、社団法人日本建設業連合会 ICT部会のメンバーである杉浦 伸哉氏にまとめていただいた。
TEXT●杉浦 伸哉
平成22年9月に国土交通省の電子納品等要領およびガイドラインが大幅に改定された。ここでは電子納品全体の流れの中で、工事写真データの関係について述べることとする。

工事写真については、平成20年5月の「デジタル写真管理基準(案)」という表現から、平成22年9月の「デジタル写真管理情報基準」に変更となり「(案)」が取れた形となった。
これにより、従来は事前協議の中である程度柔軟な運用が認められていたものも、今後は原則として認められなくなる。よって、事前協議などをしっかり行い、事前に検討しなければならない問題点などがあれば、受発注者共にしっかり打合せすることが重要である。
なお、平成22年9月基準については、平成23年4月以降に入札手続きを開始する直轄工事から適用されることになっているので、平成23年4月以降に受注した工事案件では、今回の新しい基準での対応となることを覚えておいてほしい。
まずは、右図を参照いただきたい。今回の電子納品改定では、大きく「紙のみ提出するもの」「紙または電子のいずれかで提出」「紙と電子の両方で納品するもの」「電子のみ納品するもの」の4パターンに分けられた。
この中で「工事写真」は「工事書類」という位置付けとなり、工事完成図書という概念から外された。
その結果、工事写真については、従来のように工事完成図書としてとりまとめる必要がなくなった。よって、書類と図面ファイルを一緒の媒体に納品するのではなくなり、工事写真だけの提出となった。

土木工事における工事関係書類の体系図
(国土交通省発表資料より)
今回の改定では、工事写真は工事写真のみが収められたメディア(CD-R もしくはDVD-R)での提出とし、従来のように電子納品フォルダの中の1つとして扱わないことになっている。
よって、工事写真は、工事書類として提出するメディアと別になり、単独での提出となる。
現在利用している電子納品作成支援ソフトに、PHOTO フォルダのみ出力できる機能があるか否かを確認しておく必要があろう。

左:工事写真のフォルダ構成(工事写真管理ソフトからの出力)
右:従来の電子納品と今回改定の電子納品のフォルダ構成比較表
工事写真データの整理については、さまざまな整理支援ソフトがあるが、これらのソフトを十分使うためには、下記のポイントを押さえておく必要がある。これさえ理解しておけば、工事写真データの整理や出力時に間違いが起こらないので、十分理解していただきたい。
工事写真は写真区分が決められている。ご存じだろうか?
国土交通省をはじめとして、各地方自治体等でも整備されている「共通仕様書」等にも記載されているが、工事写真の整理は、次の8つの写真区分が決められている。
それぞれの写真区分で、どのタイミング・箇所の写真を撮るかという「写真撮影箇所」という基準があることも覚えておこう。
工事写真の整理を行う場合は、この写真区分ごとに整理しなければならない。従来のように、「工種」を基本とした写真整理をすることは間違ってはいないが、「工種」で整理する場合は、撮影した写真がどのような写真区分かが分かるように整理しておく必要があるだろう。

○:記入
△:記入可能な場合は記入
×:記入は不要とするが、任意の記入も可
注目すべき点は、赤枠で囲った「品質管理写真」と「出来形管理写真」の2項目である。というのも、この2項目の場合、右記表のとおり、写真を各管理区分に分類後、各写真情報に「工種」「種別」「細別」情報を記入する必要があるためである。
これらは、デジタル写真管理情報基準の中で「条件付き必須項目」と呼ばれている項目であるが、その条件というのが「品質管理写真」と「出来形管理写真」であることを覚えておこう。
「品質管理写真」として整理する写真にはそれぞれに「工種」情報を登録しなければならない。
同様に「出来形管理写真」として整理する写真には、「工種」「種別」「細別」情報を登録することを暗記しておいていただきたい。
これは国土交通省および地方自治体の基準であるが、他省庁の工事写真整理を行う場合も、理解すべきポイントは同じなので、チェック項目を素早く見つけることが可能となる。
なお、平成22年9月の改定では、品質管理写真の種別・細別情報については、「記入は不要」という前回の基準(案)に変わり、「記入可能な場合は記入」に変更されている。
平成22年9月の改定では、写真管理基準については大きな変更点はなく、受注者が混乱する場面は少ないように思われるが、実際に写真整理を始める前に、必ず発注者と年度のチェックは忘れないようにしてほしい。間違うとすべてやり直しになることをお忘れなく。