
ホーム > イベント&キャンペーン > イベント > ギャラリー開催 過去の写真展 > 石崎幸治 写真展「日本画家石崎光瑤の足跡を訪ねて」

もともとはインドに行きたくなかった。「日本人はインドに行くと必ず下痢をする」、「タクシーなどに乗るとぼられる」あるいは「買い物をすれば騙される」などの悪い噂を聞いていたからだ。一方「インドには人生の全てがある」、「街全体がテーマパークのようだ」や「インドを旅すると人生観が変わる」という魅力的な噂もあった。それに加えて私の場合は、祖父の従兄弟に当たる日本画家 石崎光瑤が大正五年にインドで撮影した場所に行ってみたいという願いがあった。結局、好奇心が勝ってインド八日間のツアーを申し込んだ。
訪ねた場所はたったの五ヵ所。ムガル帝国の首都であったアーグラー。ここにはあの有名なタージ・マハルがある。三千年以上の歴史を持つヒンドゥー教最大の聖地でガンジス河の畔にあるバナーラス。デカン高原にあるアジャンタ・エローラ石窟寺院遺跡。それにインド最大の都市ムンバイーである。
光瑤がタージ・マハルを訪れたことは、彼の書いた「印度行記」ではっきりしているが、私の光瑤に関する資料の中には残念ながら一枚も写真はない。バナーラスでは光瑤が撮影した場所を確認できた。九十二年と六千キロの時空を超えて彼が立ったと同じ場所にいると思うとある種の不思議さに打たれた。岩山をくり貫き彫り残して作られたアジャンタ、エローラ石窟寺院遺跡は、九十二年前の写真と全く変わらない姿に感動した。ムンバイーの沖にあるエレファンタ島の遺跡は、インド門脇の船着場まで行ったが今回は時間がなく行けなかった。
光瑤は八ヶ月に及ぶ旅行から帰国後、「熱国妍春」を描き、大正七年の第十二回文展で特選を受けている。同年インド旅行を記念して「印度窟院精華」というアジャンタとエローラ遺跡を紹介する写真集を出版している。
ところで私は八日間の旅で人生が変わったかといえば、帰国直後そんなような気もしたが、しばらく経ってしまうと前と同じような気がする。
出展数 カラー40点

(c)石崎幸治